今日「can」と「could」を学んでいるときに気づいたことをメモ。
皆さん、「can」「could」を学ぶときって、「可能」「許可」「能力」「可能性・推量」みたいな感じに働きを分けて覚えますよね?
ただ、僕は一番最後の「可能性・推量」という項目のおかげで何時間も悩まされました。ひとまとまりで書かれたら使い方は同じだって思うじゃないですか。残念ながら、全く違いました。なんでまとめて説明しようと思ったか不思議で仕方がないくらい違います。
今回は、「可能性」「推量」としっかりと分けて、「can」と「could」の違いに触れながら使い方を見ていこうと思います。
注意ですが、今から僕が説明する「可能性」と「推量」の意味は、一般的な辞書や文法書とは異なると思います。しかし、こっちの説明のほうが分かりやすい自信があるので、ぜひご一読ください!
可能性
可能性は、現在なら「~でありうる」「~することがある」、過去なら「~でありえた」「~することがあった」と訳します。
まあ訳は個人でしっくりくるものでやってもらえばいいと思いますが、ここで僕が言う「可能性」でいちばん重要なのは、
既に知っていることに対して使っている
ということです。
普段私達は「これが起こる可能性はかなり低い」と、未来に対する予測で「可能性」という言葉を使うことが多いと思いますが、ここでの「可能性」は一般的に起こることを知った上でその可能性について言及しています。また、既に知っているということは、言及することが既に1回以上起こっている、ということを意味します。
CobulidとOALDの"can", "could"の該当する説明を引用するとわかりやすくなります。括弧、太字など文字装飾は筆者、以下同様。
- You use could to indicate that something sometimes happened. (Cobuild)
- (can is) used to say what somebody/something is often like (OALD)
太字部分が全てを語っています。何回も起こっていることや、しばしば見られる性質を「可能性」は指すんですね。
逆に何回も起こっていなかったり、あまり見られない性質に言及する場合は「推量」になります。わからない事は推測するしかないですよね。
もっと分かりやすく言うと、可能性は「頻度」に関する可能性です。起こることは確実なので、助動詞を取ってbe動詞にしても意味が通じることがほとんどです。
例を出して見ていきましょう。まずは can から。
- Tom is a nice guy, if he can be rude.
It can be quite cold here in winter.
(OALD)
1つ目は「失礼なこともあるが、トムはいいやつだ」という文です。この if は譲歩を表し、「確かに~だが」という意味になります。
この文を話している人は、トムがよく失礼な態度をすること (He often looks rude) を知っています。また、トムは1回以上失礼な態度を取ったことが今までにあります。そうじゃないと「失礼なこともあるが」ってなんで分かるねん、ってなりますからね。
2つ目は「冬にはここは寒くなりうる」という文です。寒くなりうるということは、発言者は以前寒かったのを知っていてこれを言っていますよね。今まで何回も寒かったので「寒くなりうる」と言っている訳です。
次は could。
Though he had a temper and could be nasty, it never lasted.
(Cobuild)He could be very pleasant when he wanted to.
(Cobuild)- It could be quite cold there in winter.
1つ目は、ただ単に "He can be nasty" が過去に移っただけです。can の1文目と同じように人の性質を表していますね。「……彼は意地悪なこともあったが、……」という意味になります。意地悪なこともあった、という事は実際に意地悪だったってことですよね。まさに often like って感じです。
2つ目も同じく人の性質について言っていますね。最後は "he wanted to (be very pleasant)" のことで、「(彼が)その気になれば、彼は愉快なやつだった」という意味になります(訳の自然さを優先して可能性の訳は入れていませんが、分かるよね?笑)。
3つ目は上の2つ目の can を could に変えただけです。意味もほぼ同じで、時間が過去にずれただけです。過去の文脈なら could を、現在の文脈なら can を使えばいいだけです。
どうでしたか? 以上が「可能性」の話でした。
推量
推量とは推し量ること、推測のことです。日本語では「~だろう」「~かもしれない」という言葉が一般的だと思われます。可能性の訳が使われることもありますが。まあそこは適当なのを選んで使ってください。
推量は「わからないこと、確定していないことを推測する」のが大前提です。「今、ここで雨が降っているかもしれない」というのはおかしいですよね。そこにいる時点で降っているかいないかは知っているはずですから。
そして、推量には大切な文法事項があります。推量を表すのにはほとんど could を使います。肯定の文脈で can は使いません。
また、過去の推量は could have done で表します。
例を通じて理解していきましょう。まずは現在の推量から。
- Her story could be true.
- I think she's at school now, but I could be wrong.
1つ目は「彼女の話は実話かもしれない」という意味で、彼女の話が実話かどうかを今推測していますよね。
2つ目は「俺が間違ってるかも」と言っていて、これも明らかですね。「今」推量しています。
次に未来の推量。
An improvement in living standards could be years away.
(Cobuild)- We could have a heavy rain this evening.
1つ目は「生活水準の改善は何年か先になりそうだ」という意味で、未来を推量していますよね。
2つ目も明らかに「今日の夕方は強い雨がありそうだ」という未来の推量ですよね。
「could have done」の形は過去推量で使われると書きましたが、未来完了の推量で使われることもあります。ただそのときは、未来というのが分かる言葉 (e.g., tomorrow, in three days)があるので心配いりません。また、この意味で使われることはあまりありません。
- The anime could have finished by next summer.
最後に過去の推量。
- My brother could have eaten my pudding.
You couldn't have left it on the bus, could you?
(OALD)
1つ目は「弟が俺のプリンを食ったのだろう」という過去に対する推量ですよね。
2つ目も「バスに置いてきたわけではないよな?」という過去の行為に対する推量です。
過去に状況が違ったらこうなっていたかもしれない、ということも言えます。仮定法的ですね。
- You could have been killed.
- We all did well. It couldn't be better!
1つ目は「状況が違えば死んでたぞ」ということです。死をギリ回避したんですね。ギリ回避は英語で narrow escape って言います。
2つ目は少しわかりにくいかもしれませんが、not を取ってみると「It could be better / 状況が違えばより良くなっていたかもしれない」となります。これを否定すればいいので「状況が違ってもこれ以上はない / これ以上ないほど最高だ」という意味になります。
以上の全ての文について、can は使えません。
- Her story can be true.
- We can have a heavy rain this evening.
- My brother can have eaten my pudding.
- You can have been killed.
ただし、否定と疑問の場合のみ推量でも can が使えます。
- Can her story be true?
- We can't have a heavy rain this evening.
- My brother cannot have eaten my pudding.
(補足)
一般的な文法書には「can は一般的な机上の可能性 (general statement) を表し、could は具体的な可能性 (a specific situation) を表す」と書いてあります。僕の説明では「机上の可能性(の推量)→可能性」「具体的な可能性(の推量)→推量」としています。
練習問題
今まで「可能性」と「推量」について学んでもらったので、練習問題です。以下の例文の中にある選択肢の中から適切なものを選んで意味を確認してください。正しいものが1つだけとは限りません。
- You ignored a call? It (can be/can have been/could be/could've been) Nunally!
- I (could've finished/could finish/can have finished/can finish) my homework assignment by tomorrow if I hadn't hung out after school.
- You (can/could) get a burn if you are not careful.
- It (can/could) snow even in Okinawa.
- It (can/could) snow here this afternoon.
それでは、下の方に答えがあるので解き終わったらスクロールして確認してください。
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答え:
- could've been
- 「無視した電話がナナリーのだったかもしれない」という過去の推量。
- can have been の形は存在しない。
- could've finished / could finish
- could've finished「明日には終わっていたのになぁ…(実際には終わりそうにない)」という仮定法。終わっている、という未来完了(would've finished → could've finished)。
- could finish「明日には終わるのになぁ…(実際は終わりそうもない)」という仮定法。
- can / could
- can「やけどをする可能性がある」は、一般的なアドバイスをしているときに使う(可能性)。今までに気をつけてなかったからやけどした人は何人もいる。
- could「やけどをするかもしれない」は、具体的な状況、例えば花火をしようとしている人に対して忠告するときに使う。その花火をしようとしている人がやけどをするかどうかはまだわからない(推量)。
- 参考(僕が質問したやつです)
- can / could
- can「降ることもある」は、現在における可能性を表す。
- could「降ることもあった」は、過去における可能性を表す。
- この2つの選択は文脈次第である。
- could
- 「午後雪が降るだろう」という予測、推量。
「可能性」「推量」の考え方は身につきましたか?
さいごに
「can」「could」の使い方はほぼ学校で教わることがないのに、出てくる頻度はmaxmaxアゲの超重要な助動詞です。
今回は、その使い方の中でも特に教わることがない「可能性・推量」をまとめてみました。しかも、僕独自の分類で。わかりやすかったら幸いです。
大切なのは、別に僕のこの説明だけを頼りにしなくていい、ってことです。
たくさん「can」「could」に触れたり、文法書を読んで様々な説明のアプローチを知って、それで最終的に理解できればいいんです。
この説明がみなさんの理解の一助になれば幸いです。では。
推薦書物
上の説明がシンプルな英語で載っています。上の説明を読んだ後の確認として是非読んでみてください。
法助動詞の底力
本当にお世話になった本です。法助動詞(can, could, will, would, may, mustなど)の使い方が網羅的に、わかりやすく載っています。ただ一つ、「could」が(僕の言う)過去の可能性を表せることが載っていないのが惜しいところです。