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前回 、 前々回 と掻破行動に対する対処法をお話ししてきました。今回は、どんな心理的介入がアトピー患者には効果的だったか?という研究 1) を読んだのでそのお話。 この研究はみんな大好きメタ分析で、 行動療法 習慣逆転法 自律訓練法 認知行動療法 ストレスマネジメント アロマセラ...


前回、前々回と掻破行動に対する対処法をお話ししてきました。今回は、どんな心理的介入がアトピー患者には効果的だったか?という研究1)を読んだのでそのお話。


この研究はみんな大好きメタ分析で、

  • 行動療法
  • 習慣逆転法
  • 自律訓練法
  • 認知行動療法
  • ストレスマネジメント
  • アロマセラピー
  • マッサージ
  • 簡易力学的心理療法 (brief dynamic psychotherapy)
  • 教育プログラム

などを含む8つの研究に対して行われました。


5つの心理的介入法の中では、自律訓練法、認知行動療法 (と皮膚に関する教育)、ストレスマネジメントにかゆみを和らげる効果が見られたそう (r = -0.805)。調査の対象となった5つの心理的介入法の中で習慣逆転法だけ痒みを和らげる効果が確認されなかったそうです。まあこれは、前回紹介した研究2)の中で、


参加者からは「掻く行動を自覚し別の行動に置き換えることが新鮮で効果的だった」,「掻くことが減った」など介入に対し好印象を持った意見が得られた一方,「代わりの行動をしていると余計に痒くなった」,「トレーニングの実践が大変だった」,「痒みが強く拮抗行動の実施が困難であった」,「無意識に掻破行動を行っていたかもしれない」など介入に対し負担を感じたり,掻破行動の抑制が難しかったという意見も得られた。


というコメントがあったので、まあ納得。って感じですね。もしかしたら、痒みに気持ちを集中しちゃって痒さが増してしまったのかもしれませんね。


一方で掻破行動の抑制に関しては、分析の対象となった自律訓練法、認知行動療法 (と皮膚に関する教育)、習慣逆転法の4つの方法全てで有意な掻破行動の減少が見られたそうです (r = -0.620, p < 0.0001)。


研究チームは、習慣逆転法はアトピーによる掻破行動の減少によく貢献する、と言っているので是非是非試してみてください。

ただ、上でも言ったように習慣逆転法は掻痒の強度を減らしてくれないので、認知行動療法と併用するのが良いかも。前々回紹介した4STEPは、認知行動療法の考え方も入っているのでオススメです。

前回は、どうしても掻いてしまう癖は4STEPを使って直せ! という話をしました。 掻く癖を治したい? それなら4STEPだ!   最近は アトピー患者が増えてきている 、とよく言われています。実際、2008~2017の9年間で 16万人 も増えたそう 1) 。 かくいう私はアトピ...


前回は、どうしても掻いてしまう癖は4STEPを使って直せ! という話をしました。


掻く癖を治したい? それなら4STEPだ!

掻く癖を治したい? それなら4STEPだ!

  最近は アトピー患者が増えてきている 、とよく言われています。実際、2008~2017の9年間で 16万人 も増えたそう 1) 。 かくいう私はアトピーでこそありませんが、アトピー性皮膚炎なみの慢性皮膚炎で悩んできた身。幼い頃から皮膚科の世話になってきました。 最近は一番ひど...


今回は、習慣逆転法が掻いてしまう癖に効く、という研究1)を読んだのでその話。


習慣逆転法というのは、ある直したい習慣があったときに、それとは同時にできない習慣を新しく作ってしまう、というものです。

例えば、タバコを止めたかったら「タバコを吸いたくなったら代わりにガムを噛む」という習慣を作る。酒を止めたかったら「酒を飲みたくなったら代わりに水を飲む」という習慣を作る。

悪い習慣と拮抗する習慣を作るので、拮抗反応法とも呼ばれます。


研究では、参加者を2つのグループに分けて、一つのグループには「掻きたくなったら手をぎゅっと握る」という習慣をつけてもらうよう指示し、もう一つのグループは自分で新しく作る習慣を決めてもらったそう。

結果は、どちらのグループも1週目から2週目、3週目で有意に掻破行動が減少したそう (p < .001)。大体60回→20回くらい。また、掻破行動の抑制によるQOLの上昇も見られたそう。


2つのグループで効果に有意な差は見られなかったようなので、何か自分で良い拮抗反応を思いつけたらそれをやるのも良いかも。しかし、

選択群の参加者からは「拮抗行動の種類によって掻破行動の抑制に効果が実感できるものとできないものがあった」,「拮抗行動を選択するより固定した方が実践しやすそう」といった感想が得られた。これを踏まえると,必ずしも全ての選択群の参加者において様々な拮抗行動の実践が継続されていたとは考えられず,参加者によっては拮抗行動の選択傾向が固定されていった可能性も考えられる。

とのことなので、不安な人は 「痒くなったら握りこぶしを作る」という研究チームが用意した拮抗反応にしておくのが安泰ではないでしょうか。

是非この対策を、前回の4STEPと組み合わせて使ってみてください。

最近は アトピー患者が増えてきている 、とよく言われています。実際、2008~2017の9年間で 16万人 も増えたそう 1) 。 かくいう私はアトピーでこそありませんが、アトピー性皮膚炎なみの慢性皮膚炎で悩んできた身。幼い頃から皮膚科の世話になってきました。 最近は一番ひどいと...


最近はアトピー患者が増えてきている、とよく言われています。実際、2008~2017の9年間で16万人も増えたそう1)。

かくいう私はアトピーでこそありませんが、アトピー性皮膚炎なみの慢性皮膚炎で悩んできた身。幼い頃から皮膚科の世話になってきました。

最近は一番ひどいときに比べたらだいぶ落ち着いてきたものの、染み付いた長年の癖である「掻く」という行為は中々直るものではありません。気がついたら痒くないのに掻いてる。

さて、今まで皮膚炎に悩んできた人は「掻破による悪循環」はよくご存知のことでしょう。

  • 掻く
  • 皮膚が刺激される
  • 痒くなる

の繰り返しで、どんどん悪化していくやつです。

これを止めるには「掻く」のを我慢しなきゃいけないわけですが、今回は「You Are Not Your Brain」という悪習慣を断ち切るための本を読んだので、そこで紹介されている方法を皆さんにもご紹介しようと思います。

前提知識

本題に入る前に、メソッドを理解するための前提知識を少し。


1. あなた ≠ あなたの脳
題名にある通り、「あなた」と「あなたの脳」は別物です。掻いてしまったからって「僕は誘惑に耐えれないダメ人間だ……」なんて思う必要はありません。脳が「掻け、掻け」と身体に命令しているから掻いてしまうのです。「あなた」のせいではありません。全ては「あなたの脳」がいけないのです。


2. 脳は「待て」ができない
私達の脳とて、自己の不利益になることはしたくありません。ということは、脳は「掻くこと」が私達の利益になると思っているのです。でも長期的に見れば違いますよね? しかし、脳は長期的な視点を持つことが苦手。長期的な利益(肌が綺麗で健康的に!)よりも、短期的な報酬(掻いて気持ちいい!)を脳は優先するのです。


3. 習慣は脳を変える
繰り返しの動作である習慣は、それをする度にその行動に関する脳の部位が活性化され、習慣が強くなります。しかも、繰り返している = 自己に利益がある、と脳が思ってしまいさらに習慣が強化されます。これは良い習慣も悪い習慣も同じです。

The Four Step

この本では、「4STEP」という方法が紹介されています(うっ、頭が……)。文字通り4つのステップで悪癖を治していくとのこと。


1. Relabel: レッテル付け
脳の命令にレッテルを貼る。客観的な視点を持ちながら、脳の指令を冷静に分析してそれに名前をつける。そうすることで、脳と自分を切り離すことができる。例えばどうしてもポテチが食べたくなったら、それに「ポテチへの切望」と名前をつける。


2. Reframe: 再検討
ステップ1で脳の命令が分かったので、その認識を捉え直す。その命令は自分が出しているものではなくて、脳が出しているもので、自分とは関係ないと認識するために。例えば「ポテチへの切望」と名前をつけたら、「食べたくてたまらない!」という認識から「これは脳の報酬系が刺激されているだけだ」と捉え直す。


3. Refocus: 集中先を変える
脳の命令が分かりその認識も変えたら、意識の集中先をその命令から別の所に移す。真に自分に利益をもたらす行動を取る。散歩とか、運動とか、楽器を弾いたり吹いたりするとか。15分以上はやったほうがいい。


4. Revalue: 再評価
別のアクティビティに集中して脳の命令を無視することができたら、今までの自分の行動を評価する。不健康な事をしていたのは自分の脳で、本当の私はそうじゃないという事を認識する。


これらの4STEPを使って、掻いてしまう癖も直せるんじゃないか、ってことです。具体的には、

  1. 「掻痒感」と名前をつける
  2. 「ヒスタミンが分泌されて、脳のニューロンが刺激されてるだけだ」と捉え直す(メタ認知)
  3.  筋トレをしたり、ピアノを弾いたりする
  4.  痒みを引き起こしているのは僕の脳だ、僕は自分を変えられる、と再評価する

こんな感じでしょうか。反芻思考に対処する「AWARE」に似たものを感じるところもありますね(Accept, Watch → Relabel, Reframe / Act, Repeat → Refocus / Expect → Revalue)。

この4STEPは、様々な心理学的メソッド(認知行動療法、マインドフルネス、リアプレイザルなど)を組み合わせて作ったか、似せて作ったものなので、効果はかなりのものと考えられます。

残念ながら翻訳本はまだ出ていないので、興味を持った方は原著で。


注意
これらの療法は処方された薬と併用して行ってください。上で述べたことを行ったことで状態が悪化した場合は、すぐに止めてください。他の療法を既に行っている場合は、医師に相談してから行ってください。